「流石に今日は
だれも来んでねぇ」
登り口の気温は20℃。
この天気予報じゃね。
◆傘差し遊山
僕らは写真を撮りたいから
風の強さと雨の降り方を観て
傘差しで大丈夫なら山に入る。
雨具は空気を感じないからね。
霧が醸す幻想的な風景や
水を喜ぶように輝く草木の
雨には雨の美しさがある。
吸血虫も少ないしね。
◆林道のこと
登り始める林道に生きる
草木は雨で活き活きして見える。
山を覆う雲は薄く
陽を透かす霧は白く輝き
程なく山道は林道を別れ
杉檜の人工林に入る。
◆人工林のこと
杉は水を好む樹木で
野生では渓などに生えるため
光りを求め真っ直ぐ幹を伸ばし
土壌が乏しいため浅く広く根を張る。
吉野や屋久島など杉の名産地は
どれも年間雨量の多いところで
東西に尾根を張る工石山山域も
南からの雲を受け止め雨が多い。
だからすくすく育った
杉には霧が似合うのだろう。
特にここは下層の草木と
上手く調和していると思うなぁ。
あれ夏の雲又雲のかさなれば 惟然