猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏至に入る加持ヶ峰遊山 花合歓

                                                   

 低気圧がオホーツク海に移動。
低気圧から延びる前線が南下して
西・東日本を中心に雨を降らせ
南から暖かく湿った空気が流れ込む。

◆空を観る
 日本に蛇行していた偏西風は北上。
寒暖ぶつかり合う前線を伴う低気圧を
押し上げた暖かい南の太平洋高気圧が
日本を覆い梅雨の合間には長い晴天が続く。


 
             高度1500m               高度5000m
◆川を遡る

「燃料高騰で控えちゅろうか」

 不安定な雨雲の合間を狙って
tochikoとかよう梶ヶ森を訪れた。

 確かに通行量少ないな。

 吉野川の岸辺にネムが咲きはじめた。

合歓は六~七月の夕暮近く枝先に開く
淡紅色の長い雄しべの花糸が美しい。
夜間小葉が閉じて眠るのでこの名がある。

                                     

「早駆けして正解やったね」

 姿を現した梶ヶ森上空の雲は
大気が安定である事を教えてくれる。

 午前中は持ちこたえそう。

◆山里に入る

「もうちょっと雨欲しいね」

 紫陽花が花の盛りを迎えた
山間集落恩田と八畝の棚田は
それぞれ農作業が続いている。

                             

 梅雨入から今まで雨が少ない上
今後の予想図には早い梅雨明けも見え
燃料などの高騰で苦しい想いをしている
農家の方々が私達は心配でならない。

◆山懐に入る
 吉野川支流佐賀山谷川に沿い
信仰の山梶ヶ森の山懐に分け入る。

 「おっと!久しぶりやね」

 イタチ科の哺乳類アナグマ。ムジナ。
穴居し背は褐色腹は黒色で長い尾を持つ。
タヌキに似るが四肢が短く頑丈で爪が大きい。

                             

林道が標高を上げ北に見える山並には
西から雲が流れ込み時々青空も見える。
そんな梅雨の晴れ間に入った梶ヶ森は
どんな一期一会を見せてくれるだろう。

                     雨の日やまだきにくれてねむの花  蕪村