猿板

遊山黒子衆SARUの記録

芒種に入る奥物部遊山 緑蔭

                                                               

陽が高くなり木もれ日が射す。

 沢胡桃はクルミ科の落葉高木。
水を好み沢など山間の湿地に多く
4~5月頃淡黄色の花序を垂らす。

◆木洩れ日

 「コントラスト強いね」

風景を撮るのに調整を要するが
この時期の私の好きな一期一会。

 全ての命の源は太陽。

      綺麗だよなぁ。。。

                       

◆樹を観る

「栃の花も終わった」

 森のシャンデリアは
1週間ほどでの役目を終えて
今秋も多くの実を落としてくれる。

 姿の見えない鳥の囀りが
繁った木々の上から聞こえる。

 花と若葉を求めた虫たちが
木の上に上がったからな。

           

◆森を見る
 林道は標高を上げて
木々が少ない急峻な斜面に至り
対岸に奥物部の森が現れる。

 「ハルゼミやね!」

深い渓を挟んで大合唱が聞こえる。
涼しげな蝉たちの歌が聞こえてくる。

 今年もそんな季節になった。

                 

 「ヌル谷が楽しみやね」

 きっと命の歌に
    満ち溢れて入るだろうな。

◆渓へ下る
 山道に南北の山が迫る処で
渓へ下り奥物部の森に分け入る。

渓に沿って吹き上がる風に乗って
カワガラスが上流に飛び去った。

 「一本するろう」

                                     

 陽射しは強くなったな。

渓の開いた空から陽が下り
水のせせらぎに被さるように
北の森から蟬時雨が降りていた。

                    緑蔭に染まるばかりに歩くなり  星野立子