「花曇りでちょうどいい」
北からの雲は流れが早く
毛羽立ち雲底が黒い冬のもの。
雲は筋状に流れ時々陽が射す。
◆花曇り
「花期が長いね」
今年はどこも躑躅の花が多い。
植林を抜けた雑木林は
若葉のトンネルになりつつあった。
これから空気も変わるだろう。
◆杖塚へ上がる
一本立てよう。
休養林の広場杖塚で荷を下ろす。
先週満開だった花木は終わりに向かい
淡い若葉色が多くを占めるようになった。
山梨が蕾を膨らませはじめた。
西日本に分布するバラ科の落葉高木。
５月ごろに新しい枝の先に白花を開く。
果実は秋に熟し黄色または紅色で梨に似る。
◆峠道に入る
「またご一緒しましょう」
杖塚で工石にゆく歯医者さんと別れ
赤良木峠につづく古の山道に下った。
「コミヤマカタバミ咲いた」
山道はいったん薄暗い植林に下るが
林床に咲く花に野生の強さを感じる。
◆冬の雲
工石山の森を抜け
赤良木峠に下り空の下に出る。
峠は南北に視野が開けて
北から流れ込む雲底暗い雲が見て取れた。
「石鎚は降りょんな」
これが名残雪になるのか。
稜線は風が強そうですね。
冬の雲なほ捨てきれぬこころざし 鷲谷七菜子
