「誰もいないわなぁ」
標高約850m登り口の気温は19度。
空が雲に覆われたらこれぐらいだろう。
また大雨の後はブヨがいないから快適だ。
◆雨の予想
山登りで雨が降れば何でも
レインウエア上下とスパッツでは
蒸れて暑く雨降りが嫌になるだろう。
雨が降ったら濡れればいいさ。
◆分け入る
装備を調え林道を歩き出す。
このとき雨はあがっていたが
雨具や防寒着などはザックに詰めて
自ら選んだウエアで歩きはじめた。
林道沿いの草木は
秋の実りを結んでいた。
◆杉林
林道から山道に分かれ
杉檜の自然林に分け入った。
私の夏山の服装は半袖半ズボンが多く
ブヨ以外の吸血虫はあまり気にしない。
それは吸血虫も自然であって
また肌で風や湿気など感じたい。
そして最強の防水透湿素材は
人間の皮膚だと考えているからだ。
夏山で雨で濡れても即死しないし
雨は汗の代わりに熱を奪ってくれるから
雨も良しとして濡れて歩くのも気持ちがいい。
ただそのためには信頼できる先達者や
山道具屋と出会い経験を積みながら
空も読むなど山力を纏う必要はある。
◆二次林
山道は人工林を過ぎ二次林にいる。
自然と里との緩衝地帯となる二次林は
植生が豊かで動物も食糧を得ることが出来る。
「カニコウモリの花やおか」
亜高山帯に自生するキク科の多年草。
葉は互生し形がカニの甲に似るのが名の由来。
夏白色の管状花を数個集めた頭状花を茎頂につける。
「雨が止んだろうか
鳥が鳴き出したね」
今回tochikoは面白い道具を持って来た。
「杖塚行くろう」
登り始めから雲が南山麓から
稜線に向かって吹き上がっている。
雨が降っているか見たいな。
杉山に吸はれゆくとき霧迅し 青柳志解