「ヒオウギやね」
山野に自生するアヤメ科の多年草の花。
8月頃放射状に開く花が咲き長く扇状に広がる
葉が宮廷人の檜扇に似ていることが名の由来。
◆登り口
「ブヨはおらんね」
登り口の気温は24度で微風。
テジロ(虻の仲間)はいるが
私はブヨ以外はあまり気にしない。
◆分け入る
装備を整え林道を歩きはじめた。
私の夏装備は半袖にショートパンツだが
吸血虫の住処に入るのだから仕方がない。
射されて痒いだけなら献血も入山料だろう。
林道沿いに秋の花が咲き
夏の草花は今年の実を結んでいる。
それらは他の命の働きを必要として
実も他の命を養い命を繫いでいる。
虻に少々射されても薬を塗ればよく
命まで持って行かれることはないから
入山するものはこれらが山に生きていることを
そのまま受け入れる姿勢があっていいと思う。
「虫食いが増えた」
葉は何とも思っていないよ。
虫も森の造形に参加しているのだから。
◆杉林に入る
林道から工石山への山道入り
登り始めは人が植えた杉檜林の道。
「草紫陽花やおか?」
アジサイ科クサアジサイ属の多年草。
木質の地下茎から毎年数本の1年生の茎をだす。
7-10月上旬茎の先端に白色か淡紅色の花を多数つける。
コウボウノフデフキも咲いた。
ここにも秋の訪れを告げる花が咲き出した。
「秋やねぇ」
◆二次林
山道は公園整備した植生に
鳥と風が運んだ種が根を張った
草木が共生する二次林に入る。
木洩れ日が変わったな。
晩春から夏は樹々の光合成のとき。
秋に入ると葉緑素を幹に仕舞うものがあり
森はゆっくりと紅葉に向かって時を刻む。
「またたびの虫癭(虫コブ)」
山地に自生するマタタビ科の蔓性落葉低木。
初夏に白色5弁の花を開き液果を黄熟する。
名は食べるとまた旅ができるとする俗説もある。
「杖塚上がるろう」
森を出ると暑いか観に行こうや。
山道の案内顔や虻がとぶ 一茶