猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏至に入る加持の森 樹の道

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 滝鑑賞のポイントの一つに
滝頭の美しさを楽しむ方も多く
私も大岩を長い年月かけて溶かし
落ちるこの滝頭が好きだ。

◆水の森
 山道は龍王の滝の滝頭に上がり
吉野川支流「佐賀山谷川」に添い
大木が並ぶ深い緑に分け入る。

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◆原生の森
 植物の幹は上に延びて
根は下に向かって伸びる。
大気の中で生きる生き方と
地面の中で生きる生き方がある。

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 「今日はいい風が吹くね」

その土の世界は大気中と違って
山の土にはスプーン1杯で
数億の微生物が生きている。

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◆柞の森
 植物は腐ることを繰り返し腐植土となり
大地の栄養になるのに数千年の時間が必要だが
地球全体で石の風化による土は100t程度と考えられ
土壌の殆どは植物が作ったものと言える。

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その土は農業による開墾や
土砂崩れなど自然災害があれば
1平方kmで1万トンもの土壌が奪われる。

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ただ日本ほど植物が豊富な国は
土を剥き出しにすると草がすぐ生えるように
多くの種子が常に大気中を浮遊している。

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そんな海に囲まれ四季がはっきりした
温帯の島国は世界で日本しかないから
災害もあるが自然と敵対すること無く
自然の恵みだけで生きることが出来た。

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◆信仰の森

 「山法師が咲いちゅう」

山野に自生するミズキ科の落葉高木。
六~七月枝先に白い花びらのように見える
苞(ほう)に囲まれた頭状花序をつける。

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山道は苔むした石段に至り
ここから先は修験の域となる。

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 深緑に埋まるように鎮座した
定福寺奥の院である遍照院が現れた。

 「休んで行くろう」

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                    雲中にして道岐れ山法師  木内彰志