登り口の山桜も満開だった。
関東より西部の山地に自生する。
春に赤みを帯びた葉と同時に白い花をつける。
古来詩歌に詠まれてきた桜はこの山桜が多い。
◆傘を差すこと
「ソフトシェルで大丈夫やろう」
この予報で誰もいない
霧に覆われた登り口は気温11℃。
また風はなくが雨も降っていない。
しかし樹々が空覆う林道は
枝に止まった霧が雫となって
時々ポタポタと落ちてくる。
こんな時は傘を差させば快適だ。
◆芽吹くこと
前回はまだ早かった
若葉が霧の中に浮かび上がる。
雲は薄く優しい光りで
若葉が瑞々しく見える。
これも霧の中の
一期一会なんだろう。
◆花のこと
「シロバナネコノメも
元気に咲き出したね」
草花も多く観るようになったが
今年は躑躅の花の多さが目に付く。
「躑躅は晴天より
霧の中がいいねぇ」
桜の一斉開花もそうだが
樹々はどこか目のようなもので
周りを見ているとしないと
説明がつかない事象が多くあり
36億年と言われる自然の営みを
ほんの短い人間の科学で解っていることは
1%にも満たないとも言われている。
◆樹々のこと
明るい霧の中では
樹々の幹も目についた。
深い渓が迫ると
鳥の囀りが響いてくる。
ほんとに
今日は静かだなあ。
春雨のあがるともなき明るさに 星野立子