霧の雫を纏う通草の花が美しい。
アケビ科の蔓性落葉低木の花。
四月ごろ新葉とともに淡紫色の花が咲く。
日本原産で本州・九州・四国の山野に自生。
◆雲深し通草の花の雨ためて 安藤甦浪
「春紅葉の始まりやね」
まだ標高が低い森の入口は
樹々の芽吹きが始まっていた。
役目を終えた椿の花が林道に落ちている。
私は椿の本質は落花のように感じている。
◆山の咲くら
「咲いちゅうね」
tochikoが期待していた山桜
2週間前来たときはまだ早かったが
この日若葉も光らせ迎えてくれた。
豪快に花を咲かせる
ソメイヨシノもいいけど
私は桜色の若葉と共に
花を咲かせる山桜が好きだ。
◆花回廊
一度に咲いたようやね。
「今年はそんな年」
そうやね。
平安時代はもっと暖かかったから
外に廊下を置いた寝殿造りが出来た。
温暖化でも寒冷化でもないこんな年。
そんな山桜たち咲き乱れる
回廊の先にある奥物部の森は
どんな一期一会に出会えるだろう。
ひかり降るごとく雨来て山桜 茨木和生