急登を登り終え
道がなだらかになれば
私達の居場所が見えてくる。
◆山のまほろば
本来の呼び名は「ヌル谷のナロ」
大地の隆起により出来た落盤帯に
流れ込んだ沢が永い時をかけて
土砂を運び造った森の広い平坦地。
私達はここに30年近く通い続け
様々な変化を体験し学びを得てきた。
◆山毛欅の森へ
一休みしたのち
ヌル谷源流を目指し歩き始めた。
ここで標高は1200mを越え
山毛欅たちの森へ分け入る。
◆変わること
近年このあたりも鹿が増え
下草を失った大地の土壌が流れ
根が窒息してしまうのか
大きな樹まで倒れはじめている。
それでも鹿が嫌うトリカブトなどが
大地に根を張り頑張っていたが
最近それすら元気がないように感じる。
やはり森は助け合っていて
一人で生きることは出来ないのだろう。
今日も遠くで鹿が鳴いていた。
妄想の草深ければ鳥兜 清水径子