猿板

遊山黒子衆SARUの記録

啓蟄の国見山遊山 転

桜餅

 「桜餅をどうぞ」
 蟹虫啓戸(すごもりむし とをひらく)
土の中に穴を掘って隠れていた虫たちが
土の扉を開き広げて出てくる時季。


◆稜線の道
 暦は啓蟄に入っても
高山はまだ冬の景色をとどめ
国見山の稜線に根を張る
ブナ達も冬の眠りの中にあった。



                  
◆霧氷の道
 「霧氷が散っちゅうで!」
四国山地北の最前線にある
この山の見所は冬咲く霧氷。



しかし春に近づくこの頃は
日差しが強くなり散るのは早い。
 「惜しかったねぇ」
                  
◆山毛欅の道
 春の訪れと共に
鳥の鳴き声が増えた様に感じる。
 「今日は置き土産忘れたがよ」



 日差しで木々が温かくなり
樹皮の間で眠っていた虫たちが
目覚め始めたのだろう。
                  
 柞の森は母の森。
広葉樹の森は多くの命を養う。



◆空の道
 この日霧氷は散っても
快晴の森は輝いて見えた。
                  
その青空の中にある
白い雲の様な雪の道は
空へ続いている様に感じた。



                         風光りすなはちもののみな光る  鷹羽狩行