猿板

遊山黒子衆SARUの記録

節分の日の遊山 転

伊予富士に向かう

 この道は夏の暑い盛りに
山のお父さんと草刈りした道。
tochikoの後ろ姿を眺めながら
懐かしいあの日々を思い出していました。
◆大切な思い出のこと
 そしてtochikoもこの山には
亡くなった山のお父さんとの
思い出が眠っています。

◆基安鉱山のこと
 伊予富士は銅の採掘で栄えた山。
明治初期に発見された銅の鉱脈は
大正3年から本格的な採鉱がはじまり
住友家が財閥を成す礎となりました。

昭和47年の閉山まで最盛期には
月産2,500tを超える銅鉱石を算出し



山麓の72戸500人をこえる鉱山集落には
配給所、浴場、診療所 、学校があり
人々の生活で賑わっていました。

千の風になること
 そこで暮らしていたのが
後に笹ヶ峰丸山荘を受け継いだ
山のお父さんお母さん伊藤さんご夫婦。

そして1998年tochikoは
お父さんと記憶を辿り仲間と共に
山麓集落跡を訪れました。

          
 きっとお父さんも
帰ってみたかったんだよ。



                            photo by kenzo nakazima
 山麓から吹き上げてくる風に
過去から引き戻されたtochikoが
何かつぶやいた様な気がしました。



                                   誰も来ぬ戸に柊を挿しにけり  岸本尚毅