猿板

遊山黒子衆SARUの記録

09春の西赤石山 手向けの花

稜線へ

「あのアケボノツツジ
   みんなで植えたんよ。」
 かつてこの山域の
鉱山の街に住んでいた
ある方から聞いた話です。
◆回帰
 道は薄暗い植林を抜け
稜線に続く「牛車道」に出る。
森を失い土が洗われた山は
低木達が土壌を形成しつつあります。
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 そのリョウブやツツジ達は
土壌が無くても根に根圏微生物を養い
それら作る窒素で生きることが可能で
落葉で少しづつ腐葉土を作っていきます。

◆一期一会
 稜線の「銅山越え」出て
東に西赤石山の北面を望み
アケボノ群生地の稜線を進みますが
今年は色が薄いようでした。

2年連続の大開花の後に
一休みの年の様でこれも一期一会です。
また巡る春に期待することにしました。

◆安息の山
 銅の精錬のための薪採取や
亜硫酸ガス、鉱毒のために
森と土を失ったこの山域は
今、自らの力で回復しています。

 その人為により現れた環境は
四国に無かった高山性の植物を呼び

稜線には山を去る人々が植えたという
ツツジたちが群生を形成しています。

私はこの山に咲く全ての花が
ここで確かに生きていた人々に
手向ける花のよう感じました。

                      死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 臼田亜浪