5月の晴天に恵まれた休日
アケボノツツジを求めて
店長と共に西赤石山に登りました。
◆分け入る
四国を南北に貫く県道には
里山の花のシャガが咲き
四国らしい山の重なりが
美しいシルエットを見せる朝でした。
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別子銅山として栄えた西赤石山には
いくつかの登山道があり
銅山の中心地「目出度町」の史跡の多い
旧別子村の日浦コースで入山しました。
◆静寂の賑わい
別子銅山は元禄から昭和まで
約280年間に70万トンを産出した
最深部海抜下1,000m全長700kmの坑道は
当時世界最大の規模でした。
その経営を一手に行った住友家は
日本を代表する巨大財閥となり
最盛期にはこの深い山麓に
1万もの人が暮らしていました。
しかしその繁栄は昭和48年の
閉山と共に再び緑に沈み
産業遺跡は山中に眠っています。
◆人の道
山中人が長いく往来した石畳には
牛馬での荷揚げのソリ跡が残り
人が確かに生きた証しと移ろいを
静かに感じる道が続きます。
やがて道は登るにつれ一つに集まり
長い石段の上に“お百度石”が残る
大山積神社跡に着けば稜線はすぐそこです。
◆確かに生きた事
銅採掘による鉱毒の流出や
精錬により森を失い起こった山津波や
焼鉱窯の飛び火による火災などにより
多くの人が命を落とした山。
ここで名を残すこともなく
散っていった御霊の供養に
丘の上に築かれた「蘭塔婆」も
今は静かな緑に包まれています。
今も続く手向けの花の側で咲いていた
小さな栂桜が私の心に強く残りました。
高々と蝶こゆる谷の深さかな 原石鼎