猿板

遊山黒子衆SARUの記録

啓蟄の奥物部の森遊山 吹雪

                                                   

 「珈琲あるで
   休んで行くろう」

 いい雪でここまで一気に来た。

     風も穏やかやしな。

◆森の中のもう一つの森
 この東屋は三代目。
かつてあった椅子やテーブルは
15年位前には大地に還ったなぁ。

 僕らも歳取るわけよw

◆山懐へ分け入る

 一休みの後森の母に会いに行く。

 重い荷物をよいしょと担ぎ
20代から歩きはじめた山道には
多くの出会いと別れがあった。

 「みんな待ちゆうと思うで」

 これから始まる第二の人生は
ながい山道で培った経験を活かした
お世話になった人達への恩返しの道。

                                         

 そうだよな。

 真のクライミングパートナーとは
命のザイルを任せられるものだ。

    これからも頼むよ。

◆Mother tree

 「やっぱり
    綺麗なねぇ」

 深山のヌル谷出流処を
根を張って護る栃の大木。

 永い風雪をその身に刻み
天に向かって大きく枝を広げ
今日も彼女を迎えてくれた。

 この樹も変わってきた姿。

                     

 「何か 気持ちえい!」

 これも彼女が通いながら
老木と絡合した証なんだろう。

 山を共にするものもそうありたいな。

◆かえり道

 さあ 帰ろうか。

「また陽が射してきた」

人生も晴れのち雨の繰り返しで
それはそれで楽しいものだ。

                                                   

「猫バス
    来たで~!!」

 渓筋で収束し山に駆け上がる地吹雪。

 ど~ん!  って。。。

山懐でなら楽しい気象現象で
ある程度等圧線で予測できるが
場所は解らず晴天下でも発生する。

                             

特に標高差がある高山の稜線で
季節関係なく吹き上がる強い風の塊による
転倒や滑落の遭難事故は後を絶たない。

 「今日は色んな
    変化に会えて楽しかったね」

新雪は空の便りで残雪じゃ何も読めない。

 三週続いた新雪は良かったな (^_^)

                  妻いつもわれに幼し吹雪く夜も  京極杞陽