「誰もおらんねぇ」
いつものことやけどね。
春の花は終わりとなり
束の間山は静かになる。
◆分け入る
気温13℃でよい感じ。
林道を覆う樹々が若葉を吹けば
風は柔らかくなり気温も落ち着く
気持ちいいはじまりだった。
◆初夏の色合い
「ウワバミソウが咲いた」
陰湿地に群生するイラクサ科の多年草。
6月頃淡黄緑色の小花を葉腋に密生。
柔らかく多汁で若い茎葉は美味。ミズナ。
鮮やかな春の花と違って
夏の花は楚々とした美しさを感じる。
「大きなユキモチソウ」
サトイモ科の多年草。
春に紫褐色の仏焰苞を有する花を開き
内部の肉穂花序の上部は球状で雪白色をなす。
「アワフキムシがおる」
これも夏の色合いだろうな。
◆飛沫舞う
林道は幾つかの沢を渡り
どの沢も水量増し飛沫を上げていた。
水は命の源である事は間違いなく
時折訪れる大雨も樹々には恵みで
土石流は平野を造り海を豊かにする。
しかしそこに人がいれば
災害になる事は仕方がないことで
先人は恵みとして受け入れてきた。
それが日本に住む者の定めだとも思う。
人の都合は関係ない
自然は完全中立なものだから。
◆梅雨の山
対岸に見える奥物部の森は
春紅葉を終え深い緑の風景に移ろう。
「30年だけど
樹も大きくなったねぇ」
隆起と崩壊を繰り返し日本は造られ
これからも続きこの風景は一過性のもの。
目の前の環境の保全って
一体何の意味があるんだろうか。
群れ咲いて二人静と云ふは嘘 高木晴子