「やっとスミレを
見つけたで」
森の春は大地から始まり
林道に若葉と花が見え始めた。
◆春の目覚め
「今日は花曇りやき
花の撮影にいい感じやね」
花曇りとは桜の咲くころの曇り空。
花と一体になった白い空がどこまでも続く。
◆冬を耐えた命
凍りつく渓風が抜ける
厳しい環境といえる林道で冬を
耐えた小さく強い命が咲き始めた。
シロバナネコノメソウ
イワボタン
ユリワサビ
「山のマンサクは上品なね
真っ黄色にならんし」
◆森のこと
ミツバツツジの開花は
まだ先だが今年は花芽が多い様だ。
「河童ちゃん
やっぱり出ちゅうで」
人間にとって猛毒の
ハシリドコロも若葉を出した。
この大地の命はいずれ木陰に入るから
それらが十分太陽の恵みを得るまで
森の樹々は待っている様に思う。
対岸に見える
ブナの冬芽が赤くなりはじめた。
今年の春紅葉は早いかもね。
花曇はこばれながら鳴る琴よ 沼尻巳津子