龍王の滝の頭に上がれば
涼しげな沢音を運ぶ風に包まれる。
たとえば街や稜線が風が強くても
森は若葉を吹けば風は優しくなる。
◆源流の森
山道は吉野川の支流
佐賀山谷川に沿い源流に向かい
大木が護る自然林に囲まれる。
◆初夏の色合い
色薄い若葉は陽を透かし
森の空気を若葉色に染める。
森の花は鮮やかな春のものから
白色など清楚な夏の色合いに変わる。
人の眼は波長の短い紫外線や
赤外線を見ることはできないが
クモや昆虫、鳥などは紫外線を
認識する事が分かっていて
花たちは森が薄暗くなって
人には見えにくくなっても
命を託す虫たちに見えるよう
色を変える様に私は感じる。
◆加持の山
「まだ山桜が残っちゅう」
奥の院の境内にあったであろう
ヤマザクラが残花を散らしていた。
宿坊で休んでいこうや。
高知県大豊町にある梶ヶ森は
四国山地のほぼ中心標高1,400mの独立峰。
かつては「加持ケ森」と呼ばれ
空海が若いころ修行したことに
由来すると言われている霊峰。
山中には遍照院御影堂や
定福寺奥の院「護摩堂」
滝など幾つかの行場があり
古くから信仰の場とされた。
「えい風吹きますねぇ」
ほんと樹々が目覚める
初夏の風って清々しいよな。
濃く薄く奥ある色や谷若葉 太祇