千両が杉林の影に色を添えていた。
暖地の林内に生えるセンリョウ科の常緑低木。
夏枝先に黄緑色の小花が群がり咲いたものが
冬に入り実が赤熟し緑の葉との対照が美しい。
◆道端のこと
「ここは正月飾りが沢山あるよ」
日陰を好むウラジロなども沢山生えて
毎年冬に訪れた際少し頂いて帰る事もある。
◆最後の登り
高知市南部に東西に尾根を張る
南嶺山塊の主稜線にある鷲尾山。
葛籠折れの最後の登りが終わる頃
薄暗かった杉林に陽が差しはじめる。
「さあ稜線にのったでぇ」
ここは鷲尾の肩で頂上は近い。
稜線の照葉樹林を抜けたら
ワイズさんが楽しみにしている
土佐ならではの風景が待っている。
◆大海望む山
「わぁ~!
いいですねぇ!!」
ど〜んと眼下に太平洋が広がる
標高306m鷲尾山の山頂に立つ。
海の色は写した空の色。
今日はあいにくの薄曇りだが
瀬戸内育ちのワイズさんは
水平線に感動したと言う。
家から歩いて2時間半
昼にはちょうど良い時間だ。
さあ 飯 飯!!
◆口福のとき
家から歩いたから
好きなだけお酒も飲める。
今日も料理長のワイズさんが
太平洋と聞いて決めたパエリアは
海の幸たっぷりの逸品だった。
登山は完全中立な自然の顔色伺いながら
経験で培った知恵を試してみる行為だと思う。
なので私もそうだったが聞いたり読んだりしても
実際に自然に飛び込まないと自分のものにならない。
さあこの穏やかな太平洋から
ワイズさんの冬山への道が始まった。
今期一番の寒波が過ぎた来週末の山は
どんな風景を見せてくれるかな。
一平野一寒天の下にあり 高野素十