標高1400m国見山頂上部の
東西に張ったなだらかな稜線は
南北からの風をまともに受けるため
ここならではの風景が観察できる。
◆恵みの森
神として祀られたこの山は
里人の厚い信仰心に守られたためか
稜線は自生の広葉樹林に広く覆われ
落葉は土壌となり多くの命が養われる。
その土壌は水を蓄え川が生まれ
共に流れる腐葉土は田畑を豊かにする。
◆涼風の森
ここで海から帰った水が
北の寒気で冷やされ霧になり
この森を覆っていた。
北斜面から吹き上がる涼風で
汗は夏と違ってサラサラ感じる。
そんな天然ミストシャワーに包まれる。
この贅沢はなかなか出会えるものではない。
◆橅の森
四国の標高1200mから上は
亜寒帯となり山毛欅の住処となる。
この霧も多くの命を養い
橅の幹には地衣類などが着き
その独特の模様が霧の中に浮かぶ。
「ここの山毛欅も豊作やね」
切れ墜ちた急な斜面にあるため
手の届くところに実が見て取れる。
秋に来ないかんねぇ。
◆森の主
この稜線には
お気に入りの山毛欅がいる。
風が強い稜線に根を張り
その踊る様な枝の全てに
長年の風雪を刻んでいる。
どの森にもこの様な
御神木のような老木がいる。
さあ もうすぐ山頂だ。
山霧の梢に透ける朝日かな 召波