「シモバシラ咲いちゅう」
シソ科の多年草。
枯れた茎に霜柱(霜華)が
冬に出来ることで知られる。
◆分け入る
古くから里人が関わる
信仰の山国見山への山道は
若い二次林から始まる。
道はほどなく
薄暗い杉檜林に入ってゆく。
◆人工林のこと
地球上唯一人間は
自然を大きく変える生き物だが
世界でも日本人だけは里など作っても
常に自然に頭を垂れて生きてきた。
日本人は里と自然林の間に
杉などの人工林を置き木材を利用し
それは野生動物との緩衝地帯となり
動物など自然との対立を避けてきた。
◆ほととぎす咲く
「間伐マークやね」
この人工林は今も手入れがなされ
間伐すれば陽射しが届き下草も生え
山の生き物もここでとどまってくれる。
かつて間伐材は割り箸など活用し
林業の運営資金に充てられたが
森を守れの「マイ箸運動」は林業を
衰退させ林は荒れ花粉症が蔓延した。
あげく他国の木を買う。
いったい私たち末裔は
何やってきたのだろう。
◆防火帯のこと
やがて山道は稜線まで
真っ直ぐ延びる防火帯に入り
ぐんぐん高度を稼いでいく。
次第に山道は
雲の中に入って行った。
私は水が好きな杉には
霧の風景が似合うと思う。
殉教の土の暗さに時鳥草 後藤比奈夫