俳人黒田杏子さんの27年に及んだ
日本の桜花巡礼を満行とした桜が
この土佐の山間にあります。
◆旧仁淀村「中越家しだれ桜」
黒田さんの胸を打ったのは
その桜の美しさだけでなく
一本の枝も切らない家訓により
桜を愛し共に生きた主と家人の心。
代々秋葉神社の宮司を務めた当主は
このしだれ桜の満開に花に敬意を払う
衣装「桜衣姿」(さくらごろも)を纏い
正座で向かい合ったと言います。
かつての佐川領藩主の休憩地とされ
当時の権力者を和ませた美しく優雅な姿は
今も人々を魅了し続けています。
◆桜の野宴
奈良時代の貴族の行事が起源と言われる
花を鑑賞し春の訪れを寿ぐ日本のお花見は
花だけでなく宴を催し人と人を結んだ。
その中心となるのは季節を楽しむ旬の料理。
それは手作りであり続けて欲しいと思う。
江戸時代に花咲いた「物見遊山」は
特権階級のものではない庶民の文化。
自然の変化に目を向け続けた日本人の心は
次世代に繋げたい文化だと思います。
ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな 村上鬼城