猿板

遊山黒子衆SARUの記録

大雪の加持ヶ峰遊山 玉霰

                                                   

 日本海に発生した小さな低気圧が
東進して冬型の気圧配置は緩むものの
日本列島は雲が広がりやすくなって
雨や雪の降るところがある。

◆空を観る
 この日再び冬型の気圧配置で
寒気の流れ込みが強まり北風が卓越し
日本海側は雪や雨が降りやすいくなるが
太平洋側も日本海からの流れ込みもありそう。

この時期二つの低気圧が通過すると
荒天の代名詞のように二つ玉低気圧と言われるが
今回のは偏西風の両端を走っているイメージ?

荒れる可能性は十分あって注意だけど
低気圧発達による荒天というより通過する
両者の間の相対的高圧部は疑似好天域の後
急に強まる冬型による荒天がポイントだろう。

                                                   

◆川を遡る

 「これは雪雲やね」

 北極寒気本体一回目が降りる週末は
Iyoとtochikoとかよう祈りの山を訪れた。

    四国はそれほど多くないと思うな。

「Iyoちゃんは冬山登山初めてでね」

 大豊で高知道を降りた山間国道で
吉野川を溯り支流源流域の森を目指す。

   「雪遊びは何度か連れてってもらいました」

 「降っちゅうね」

 薄雲被る梶ヶ森山頂部は
昨日からの雪を纏っているようだ。

     「やったぁ!」

                       

◆山里に入る

 「アラレですね!」

 豊永で吉野川を別れ
支流の佐賀山谷川を溯り
山間集落に分け入った。

 寒気が来るぞって合図だな。

 そんな今年の静かな冬のはじまりを
田圃の神様も喜んでいらっしゃるだろう。

                       

 「サザンカ咲いたね」

 ツバキ科の常緑小高木である山茶花の花。
日本特産種で四国・九州・沖縄に自生種があり
十~十二月、枝先に白い一重の花が咲く。

◆山懐に入る
 最深集落八畝を護ってきた
観音堂にある樹齢500年の銀杏も
落葉を敷いて僕らを迎えてくれた。

                       

 空気が変わったよな。

静かな冬に入った山里を過ぎ
梶ヶ森山頂に登る林道に入った。

    「私も感じます!」

 「Iyoちゃんは
    雪国の娘やもね」

 そんな冬を迎える祈りの山は
どんな風景を見せてくれるだろう。

                    かの山を思ひ忘るる玉霰  斎藤玄