窓が明るくなって目が覚めた。
山頂を覆った山雲が開いてゆく。
天気は下り坂だが午前は持ちそうだ。
◆山神の目覚め
縦走目的なら仕方ないけど
山の空は来てみないと解らない。
今年の剣山の始まりに相応しい
神々しい変化の風景だった。
ドピーカンじゃ
物足りないよね。
◆今日も朝
「よく眠れましたか?
おはようございます」
いつも最後ですいません。
手作りの朝食も気持ちよい。
「ボチボチ帰るで?」
そうですね。
雨が降る前に下ります。
「わしも降りるけんな」
◆変化のとき
「行ってらっしゃい」
に送られ小屋から出ると
強い風が吹き上がっていた。
「縦走は怖いね」
雲の尻尾が降りて来た。
午後は不安定になるかもなぁ。
尾根に乗って下るとき
目の前を山旗雲が立ち上がる。
これも変化の一期一会。
「お帰り~!」
ここにも居場所があるんだな。
また高知に来てよぉ!
「雨来たね」
今は小雨でも
午後は本降りだと思う。
でもいい遊山だったな。
◆より道
拓也 ありがとうね。
登り口に開店した長男のお店。
香りがよくて気に入ったよ。
「ありがとうございます」
「また一緒に登ろうな」
帰り際に山神様も下りて来た。
マタギは山を追い僕は人を追う。
第二の人生もそうありたいな。
「お帰りなさい」
この居場所も二代目に継がれる。
「お天気持って良かったですね」
感謝して頂きます m(_ _)m
この石を濡らさんための春の雨 富安風生