「見頃やおか」
吉野川を渡り入る祖谷郷は
紅葉の盛りを迎えていた。
でもこの雨で散るろうね。
◆祖谷川を溯る
全国区となった祖谷郷は
このお天気でも紅葉を求めた
観光客もそれなりに訪れていた。
◆雲と風
峠に上がり始めるころ
対岸の山懐から山旗雲が立ち
南西から来る雲に昇り始めた。
吹き下ろす風も強くなり
国道の樹々の葉が宙を舞う。
変化の風と見ていいな。
やがて現れた剣山山麓の樹々は
すでに冬の眠りに入っていた。
◆落ち合う
「もうすぐ着きますよ」
Tommyさんご夫婦とワイズ隊は
打ち合わせた時間どおり到着した。
流石やねぇ。
互い挨拶と土産を交わし
雨の山に入る装備を整える。
さあ 行ってみるかえ。
◆機を見定める
いつもの民宿でお昼を頂いた。
今回は泊まりで今日は登るだけ
空も変化の時に入った様だからね。。
「あぁ お帰りなさい」
「お酒吞むんですか!?」
「河童さんは遊山だからね」
そんな話で皆が盛り上がるなか
私はずっと雲と雨を眺めていた。
「リフト止まっとるけん」
この風じゃ無理ないですよね。
でもこの様子なら必ず動きますよ。
私達は難行苦行で来たわけじゃない。
待てば海路の日和ありですよ。
今日も有り難く 頂きます。
寒雲の満ちをり更に充ち動く 右城暮石