猿板

遊山黒子衆SARUの記録

霜降に入る奥物部の森 寒雲

                                                   

 北海道付近の低気圧が東進し
天気図上に描かれない前線が南下。
北日本や東日本は雨が降るが
西日本は広く晴れる見込みだ。

◆空を観る
先週平野の竜巻や高山の初雪を
もたらせた強い寒気は本体から
切り離されて偏西風の底に降りた
寒冷渦で冬はこれから南下する。


 

◆川を遡る

 「だいぶん陽が傾いたね」

 秋最後の霜降の休日に
tochikoと奥物部の森を訪れた。

 斜陽の紅葉が楽しみだ。

 「昔の段々畑が出ちゅう」

R195は物部川に沿い国境に向かう。

今までの降雨量がこれだが
まだ奥にもダムがあるから。

                                     

 美良布から観る奥物部の高峰は
北から流れる雲を稜線で受けていた。
これは南の風と前線がぶつかった雲で
間もなく寒気に押されて消えるだろう。

◆支流に入る
 旧物部村から物部川を別れ
上韮生川に添い源流に分け入る。

 水量はまあまあだな。

                                                   

 今年不作と言われる
物部の柚子も色づき始めて
まもなく収穫の時期を迎える。

 最深集落に入って
川辺の樹々に紅葉が見えた。

「あの栃も染まっちゅう」

この老木にも思い出がある。

           

◆林道の風景
 最深集落から入る西熊林道は
紅葉狩り時期には渋滞していたが
次第に人出は減って今は静かなものだ。

 これも世の移ろいだろう。

 自然は人間社会と関係なく
今年も奥物部の森は秋に移ろい
錦色の紅葉で私達を迎えてくれる。

 有り難いことだな。

                 

 静かな晩秋の奥物部の森は
どんな風景を見せてくれるだろう。

                     寒雲の満ちをり更に充ち動く  右城暮石