散ったツツジの花が
下る道に敷かれていた。
季節は正確に巡っている。
◆北回りコースへ
帰りは昭和の頃からある
北回りコースを下ることとしたのは
この先に好きな風景が待ているから。
◆深山幽谷の趣
津野町がガイドブックで
幽谷コースと名付けた由来は
四国百山がこの場所を
「深山幽谷の趣」と記した事にある。
私もその言葉に惹かれ
この山を訪れた者の一人だ。
深く切れ込んだ谷間の岩と
様々な樹木の根が踊る。
この岩を這う木の根は
四国百山に掲載されたまま
今もここにある。
この美しい風景を
長い時間をかけ造ったのは
人の力など到底およばない
地球の膨大な力。
◆苔の結ぶまで
その谷の底は
一面苔に覆われている。
それは最も日本らしい
風景のひとつなのだろう。
「いい山ですね」
また季節を変えて来ようや。
雨降りもいいかもね。
夏あはれ生きてなくもの木々のあひ 室生犀星