猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小寒の奥物部遊山 転

                             f:id:kurokoshusaru:20220110153721j:plain

 森の最前線樅帯を抜け
雲一つない冬青空に入った。
吹き上がる風はこの時期として
そよ風と言っていいものだった。

◆空に出る
 南には大海に下る山並に
等圧線の蛇行による収束帯が
生む雲が穏やかに流れている。

 一本しょうか。

f:id:kurokoshusaru:20220110153835j:plain

 「石立が格好いい」

山雲が迫る独立峰の石立山
これも山岳気象現象の一つだ。

f:id:kurokoshusaru:20220110153907j:plain

◆南の前衛峰
 剣山より発する剣山地の
主稜線から南に突き出た白髪山は
四国山地南の最前線に位置する。

                  f:id:kurokoshusaru:20220110154003j:plain

山腹の笹原を西に向かえば
山並の彼方に土佐湾が輝き

f:id:kurokoshusaru:20220110154050j:plain

東を見れば主稜線が剣山へ続く。

f:id:kurokoshusaru:20220110154152j:plain

この遮るものないこの眺望も
白髪山の魅力の一つと言える。

                  f:id:kurokoshusaru:20220110154251j:plain

◆稜線に乗る
 山頂部を葛籠折れに登る山道は
次第に勾配がなだらかになりはじめ
登り口から1時間足らずで主稜線に立つ。

 「頂上行くろう」

                       f:id:kurokoshusaru:20220110154355j:plain

三嶺や剣山への縦走路となる
分岐を西に取れば白髪山山頂で
この手軽さも魅力の一つだろう。

f:id:kurokoshusaru:20220110154442j:plain

◆頂に立つ
 標高1770m白髪山頂は
目の前に奥物部の森の主峰
三嶺がどっしり座り迎える。

                             f:id:kurokoshusaru:20220110154524j:plain

 遙か北西方向には
石鎚山地の高峰を望む。

f:id:kurokoshusaru:20220110154627j:plain

「やっぱり
  笹ヶ峰は別格やね」

 確かに石鎚より白いね。

            f:id:kurokoshusaru:20220110154711j:plain

 眼下には私達が辿り着き
30年通い続ける奥物部の森。

 こんな懐深い山域は
他にないだろうなぁ。

f:id:kurokoshusaru:20220110154758j:plain

                     雪山のかへす光に鳥けもの  木村蕪城