峠の食堂でお昼を頂き
向かった奥物部の森の空は
雲底が暗い雲に覆われていた。
◆分け入る
途中香美市で食材を仕入れ
新緑が眩しい上韮生川を溯り
源流域の森を目指し車を走らせた。
「結構車がおったねぇ」
山頂の避難小屋泊も多いだろうが
この気圧配置では稜線は大荒れだろう。
◆マヨヒガに入る
「何年ぶりやろうね」
私達は車が横付け出来る隠れ家で
春の嵐が納まる時を待つこととした。
まずはさておき乾杯だ。
ここなら荷揚げの必要はなく
好きなだけお酒や食材を持ち込んで
朝の撤収も簡単に終えることが出来る。
「稜線は雪になったで」
マヨヒガとは東北、関東地方に伝わる
訪れた者に富をもたらすとされる山中の幻の家。
私はこの隠れ家はその様なものだと思っている。
◆嵐のあと
強い風と雨は夜半過ぎまで続いたが
私が目覚めた3時頃には穏やかになり
寒天の星空と月を眺める事が出来た。
5月の四国の高峰に
雪が降るのは何年ぶりかなぁ。
さて 昨夜の寄せ鍋を
おじやでさらえて行こうかね。
春の雪しきりに降て止にけり 白雄