高知市から約1時間半
梶ヶ森6合目の龍王口に着く。
この時雲は薄くなりはじめ
天候は安定してきたと思われた。
◆分け入る
登り始めは植林となる。
大雨でまず被害を受けるのは
根を浅く張る杉などの人工林だが
今回の台風での被害は見えない。
今回台風の雲は南から流れ込み
独立峰である梶ヶ森を吹き抜けて
東西に尾根を張る四国山地主稜線が受け止め
その南側に大量の雨を降らせたようだ。
◆立秋のこと
「空気が変わったね」
暦はお盆となり秋に入った。
人工林に生きる命も時を刻み
夏の花はそろそろ終わる。
「これは草紫陽花でぇ」
二人静は実を結んだようだ。
◆極まれば兆す
「風が涼しゅうなった」
台風が海を混ぜるきねぇ。
人工林を抜け自然林に入り
下の沢から風が吹き上がる。
外の日差しはまだ強いが
森の中は植物が水を蒸発させ
奪われる気化熱で晴れるほど涼しくなる。
「夏は森歩きやね」
そりゃ そうさ。
暑さは危険信号やきねぇ。
一樹にこもる雀台風去りし後 加藤憲曠