やがてこの樹木たち全てに
大地に還るときが必ず訪れる。
でもその終焉の姿に再生を観たのが
「もののあはれ」の心だと思っています。
◆終焉の美
自らの役目を終え大地に還る樹。
その寂びた風景に魅せられて
山を歩いて来た様に感じています。
◆命のかたち
樹木は表皮だけで生きていて
たとえば傷などから水が侵入すれば
菌類により腐食し空洞となり
山に生きるものの住処などにもなる。
樹木は生きていながら
「生」と「死」が存在する
不思議な生き物なのです。
◆命の繋がり
植物は今では少なくなってしまった
二酸化炭素から炭素を取り込み
自らの体を造ることが出来る。
そして炭素を地球に生きるもの
全ての体を造る「肥やし」として残し
その生涯を終える。
この山も植林に追われた鹿により
風景が変わってしまいました。
でも自然はその環境にあった種により
また別の風景を造って行くのでしょう。
人が生み出されたのも自然ですからね。
「種はまた鳥が運んでくらぁや」
いま私達の目の前にある風景は
長い地球の歴史の「過程」でしかない。
「あはれ」とはどんな悲しみも
共有する心だと感じています。
「おぉ、次郎笈が見え始めたぞ」
都にて 月をあはれと おもひしは 数よりほかの すさびなりけり 西行