猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬将軍を迎えること =転=

吹雪く稜線

 山麓から吹き上がり溜まる雪に阻まれ
無雪期の倍の時間を要したカヤハゲ山頂は
気温−10度風速15mを越える吹雪でした。
◆奇跡の平坦地
 テント場はカヤハゲから少し下った処にある
急峻な四国山地では奇跡の様な平坦地で
私達は「鹿のコル」と呼んでいます。

◆鹿の寝床
 ここは足跡を追って見つけた鹿の寝床で
稜線の吹雪が嘘の様な静かな場所です。

私はテントの設営をしている間に
tochikoは近くの水場で水を汲む。
 「日暮れに間に合ったね。お疲れ様。」

◆囲炉裏を囲んで
 「鹿達はよく知っているね。」
稜線からは風の音が大きく響いてきますが
ここには静寂の雪が天から降りています。

今宵のワインは私達の記念の日に
mamma Italiaのマスターに頂いたもの。
バナーに火を熾し囲炉裏の様に火を囲む
誰もいない山麓での晩酌が始まります。

 「ありがたいね。」
天幕の外は雪が降り続いていますが
鹿の寝床を借りた天幕は温かい湯気に満たされ
ささやかなですが至福の時を頂きました。

                            松笠の真赤にもゆる囲炉裏かな 村上鬼城