猿板

遊山黒子衆SARUの記録

tochikoな山歩き Mother tree

大樹に抱かれて

翌朝。この森の母なる大樹
大栃の上に案内してくれるという。
この木に会いに何度訪れただろう。
この木の下でどれくらい寛いだことだろう。

まさかこの木に登る日が来ようとは
夢にも思わなかった。
身体の芯が揺さぶられるような
不思議な気持ちでその時を待っていました。

華麗なロープワークで
ザイルを仕掛けるおさむ。
枝や葉っぱ一つ一つに気遣いながら
上へ上へとザイルを伸ばして行く。
            
☆鳥の目線になる 
装備を身につけ
辿り着いた大樹の上は
想像していたよりずっと大きかった。

木に登るというよりは
森の中に包まれたような感じ。
森のシャンデリアと呼ばれる花には
沢山の蜂が働き羽音が響く。
実を落とす頃まであと三ヶ月だね。

大きく張りだした枝に足を置いてみた。
なんと逞しいこと。

☆見上げれば
 下からは解らなかった
胸回りは充分に超えそうな太い幹が
天に向かって伸びていました。

いつまでも立ち去り難いけれど
下で見守ってくれている
おさむに声を掛ける。
「おーい!そろそろ降りるよー!!」

森の王者。母なる木。
全身で感じたこの大きな風景は
一生忘れないでしょう。
 ありがとう。

                         空の音空にて消ゆる栃の花   正木ゆう子