猿板

遊山黒子衆SARUの記録

最後の桜追う三辻遊山 石楠花

                             

 「シャクナゲが咲いた」

 ツツジ科の常緑低木。
晩春から初夏枝先に花が咲く。

 昆虫も待ちよったろう。

◆夏に移ろう
 季節が遅れる山道にあって
これで私たちの春の花は終わり
稜線の花を追う方が多くなるが
僕らは山懐深く分け入ってゆく。

◆かえり道

 さあ帰ろうか。

35年前裏山から始まった登山は
チベットに辿り着き遊山にかわって
同じ様な森をかよう山道が始まった。

                 

山の楽しみ方は人それぞれで
私達は通う定点観察で見えた
変化を持ち帰り論文など検索しながら
気付いたことに学びを得てきた。

 「山毛欅は豊作やおかね」

 そして始まる第二の人生も
この山道をtochikoや仲間と共に
より深く分け入りたいと思っている。

                             

◆移ろうこと
 この日からまほらから引き返す。
それは三辻山の南斜面に伐採が入り
山道ごと広い杉林が削られたためで
私達は寂しいが自然にはどうだろう。

 人が考える善と悪は真理なのか。

例えば他を殺して盗むことが悪なら
ライオンがおのれの強い力と牙で
子鹿を捕らえ食べることは悪なのか?

           

 「ハナイカダ咲いたね」

大脳で生きる人間には見えない
深い処に真理があるのだろうな。

 エゴノキも咲いた。

 

◆より道

 「いよいよ最後やね」

何度通っても同じ風景はなく
自然は変わっていくもの。

 寂しいけどね。

                                               

 今年も石楠花咲きましたよ。

「今年は多いでしょうかね」

 この一本100円の
おでんも今日で最後ですね。

 「20年になりますかねぇ」

 暑い夏も雪の日も温かく迎えて下さって
長い間本当にありがとうございました。

 頂きます。

                                                   

 どうぞ第二の人生も
元気にお過ごし下さいね。

 では 行ってきます。

                  石楠花に手を触れしめず霧通ふ  臼田亜浪