標高約1300mの山頂に上がる。
この標高で四国の山では夏は暑いが
今日は涼風が山麓から吹き上がっていた。
◆山頂のこと
遙か太平洋を望む眺望に
山頂に根を張る馬酔木たちが
朱色の春紅葉で迎えてくれた。
「ハーブティーどうぞ」
Y'sはおもてなしに和菓子を添える。
「気持ちいい香りやね」
そんなY'sとの山歩きは
今年6月で3年目にはいる。
いいコンビになったなぁ。。。
◆自然の森
「まだ早かったね」
山頂直下tochikoが追う
山桜は芽が膨らむ様子がない。
また来る楽しみが増えたな。
三辻山の北斜面にある森は
自然に生えたブナと樫が並ぶ
暖温帯と冷温帯樹木の混生林。
「アフォーダンス理論」では
例えば人が見て山桜と認識するのではなく
山桜の方から人に呼びかけていると考えられて
私は長く山や森を歩いてきてその様に感じている。
それは生物、非生物関係なく
地球にある万物が呼びかけ合って絡合し
調和する基になっているように思う。
だから「目」は要らないんだよな。
かつて木の上で暮らしていた猿が
危険が多い大地に降りてきたときに
全身を覆っていた毛をなくしたのは
肌感覚を鋭くするためとも言われる。
◆森の中のもう一つの森
まほらを護るように稜に座る
祠のあった大岩は若葉に隠れはじめた。
古の峠に下る稜線のたわみにある
森の中のもう一つの森も芽吹きはじめ
今年も姿の見えない鳥たちが帰って来た。
「バイケイソウも
大きくなったね」
きっと人の目には映らない
今年の変化があるのだろうな。
◆春惜しむかえり道
今年の春を送る遊山の
夏に向かう若葉のかえり道に
夏の花が蕾を膨らませはじめた。
「今年は裏年かもね」
石楠花の花芽は少ないか。
「ハナイカダが蕾を出した」
たくさん落とすエゴノキの花を
ネズミらも待ちゆうろうねぇ。
「沢蟹が真っ赤になった!」
夏の紫外線対策だろうな。
Y'sの舞台が終われば真夏に入る。
今夏も共に森深くわけいろうな。
「新緑はじまったでしょう」
お客さんたくさん来たらいいですね。
頂きます。
惜春のわが道をわが歩幅にて 倉田紘文