猿板

遊山黒子衆SARUの記録

ろくべえさんと歩禅の三辻山 蕗の薹

                             

 「囀りが増えたね」

 虫らが目覚める啓蟄やもね。

囀りも近くなり種類も増えた様で
里山から帰って来たのだろう。

◆囀りのこと
 近くで鳴いているが
姿が見えない鳥たちも
繁殖期に入れば見えてくる。

◆深いところ
 峠を結ぶ古の杣道を歩き
三辻の森の最も深い処に近づき
さらに柔らかくなった山道は
私達を導いている様に感じた。

                                               

 「この岩に
    祠があったんですか」

 何かの記録で読んだのですが
なんの本だったか定かでないです。

 「ええ森ですね」

 森の中のもう一つの森に入り
姿の見えない鳥らは増えた様に感じた。

 ここで終わりにしましょう。

                             

◆かえり道
  山のこちらから渓に添って
 人が越えていった。
 そして、山の向こうからも
 山あいを越して人がやってきた。

                 

 こうして峰と峰の間には
 ごく自然に「たわみ」が出来た。

 人々はこのたわみに立って
 越し方をふり返り行き先を眺めて
 はるか彼方に目を細めた。

                 

 そしてここに
 ひとときのやすらぎを求めた。
 里人はこのたわみを
 「とう」と言い「とうげ」と呼んだ。
    = 山崎清憲著「土佐の峠風土記」より =

 「まだ伐ってるんですか」

「伐採は終わって植林しゆがよ」

 それが正しいことだと思うな。

                 

◆遊山の果て

 「ありがとうございました」

気持ちいい山歩きで良かったです。

 こちらこそ
    ありがとうございました。

 「今年の初すみれ」

 蕗の薹も顔を出し
冬が終わって春が来た。

 また同じ道を歩きましょう。

                      

 明けましておめでとうございます。

 「今年初めてですね」

本年もよろしくお願いいたします。

        頂きます。

                かたまりて日向を恋へり蕗の薹  山口青邨