猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩冬の奥物部の森遊山 深雪

                                         

 考えられる全てを背負って来て
結局最後までスノーシューだったが
スノーシューのリスクをカバーしてくれる
それほど今日の雪はいい雪質だった。

◆雪のこと
 雲から大地に降りて来た雪は
姿を変えながら海へ帰ろうとする。
雪は常に動いている生き物の様なもので
それを見定めるには経験を積むしかない。

◆まほらへ

 「雪が丸まっちゅうね」

 山道は長笹谷を別れヌル谷に入る。
そこは30年以上通うこの森のまほら。

 空気を含んだ新しい雪だな。

                 

 「雪が軽いがやねぇ」

 吹溜る沢はすっかり雪に埋まり
ここは積雪1mを超えているだろう。

 こんな風景は初めてかもなぁ。

◆ヌル谷のナロ
 標高1162mの森の平坦地。
ここから雪の量はグッと増え
東屋に積もった雪は膝高に迫る。

 今回の寒波でよく降ったものだ。

                                           

 「もうラッセルは満腹
    腹八分目がえいろう」

ここ見たら先は大体想像出来る。

 まあ稜線は軽く腰だろうな。

 

 今日はここで行動食して
峠で温かいもの頂こうかねぇ。

「稜線から風の音が聞こえるけど
    ここは穏やかやで綺麗やね」

 後で知ったが前日この冬型を狙って
別の渓に入った組が夜中に小屋に辿り着き
この日稜線の猛吹雪で縦走を断念したと言う。

 山は行き場所を見誤ると生死に関わる。

                 

◆かえり道
 今回の積雪は質も量も
今冬最高であった事は間違いないが
この積雪が後の高温や雪で層になって
雪崩の危険性を高める弱層になるだろう。

この後昨年末から続いた寒波は終わり
2月に入れば寒気の流れは冬型気圧配置から
次第に南岸低気圧の発達による引き込みに入り
降雪は日本海から太平洋側に移りはじめる。

                                     

加えて海水温は高く水蒸気が多いから
大雪になることも考えなくてはならない。
自然相手は「取り越し苦労」位がいいと思う。

 さあ 来週はどこに行こうかね。

「今日山入っちょったが!!
       物部も降ったでぇ」

雪がたっぷりで楽しかったで 

 頂きます(^_^)

 お地蔵さま
今年もよろしくお願いします。

                             

深雪晴わが影あをき虚空より  深谷雄大