猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩冬の奥物部の森遊山 氷柱

                                         

「この雪が積もった倒木って
    茅葺き屋根みたいじゃない」

 今日のは少し湿った雪だから
色々附着して積もるから面白い。

◆雪のこと
 そんな雪を降らせる雲も
時々開いて澄んだ青空を覗かせた。

 「今年最高の雪道やね」

緩やかに標高を上げる林道の
積雪は登るごとに増えてきたが
降ったばかりで空気を多く含み
スノーシューには軽い雪だった。

                 

◆山のこと
 村から降っていた雪も
次第に小さく止み間も現れ
吹き上がる風で雲が薄くなり
対岸のカヤハゲ尾根が現れた。

 「変化の風やね」

東に進む南岸低気圧
ゆっくり四国から離れて
雪雲が北上し始めたかもな。

           

 自然は変化の時に
いい風景を見せてくれる。

 これも今日の一期一会。

◆凍ること

 「どうやおね?」

 山道は渓に鋭く下る尾根を巻き
私達が冬に観測する渓水に向かう。

           

 一本は柱になったな。

谷筋に僅かに流れる渓水が
毎年2本の氷柱を見せてくれるが。

 「まだ山の水が少ないがよ」

 もう一雨欲しいところやね。

新雪だけの層では幕営できない。

 「春も水がいるもね」

                                                   

 そんな新しい雪積もる山道は
両岸の山が迫る林道終点に向かう。

                    青空の流れてゐたる氷柱かな  茨木和生