若い姫沙羅が枝を伸ばす
雲一つない澄み切った冬の空が
穏やかな天気を約束していた。
◆真澄の冬空
「手袋いらんろうね」
静かな登り口の気温7℃は
この時期としては暖かい方だが
12月は寒暖繰り返し冬に向かう頃。
「三辻山は1年ぶりですか」
そうですね。
今年の締め括りに良いでしょう。
林道から三辻への山道に入る。
◆人の林
山道は杉檜の植林から始まる。
今年一緒に登った山のこと。
それぞれの山道で出会ったことや
日常の話などで笑い合う一時。
そんな会話が弾むのも
山に求めるもが似ているからだろう。
「こんな所に忘れもの」
暑くなった下りに落としたかな。
数少なくてもいいから
人生や価値観が違っても認め合える
気心が知れた方々と第二の人生も
歩いて行けたら幸せなんだろうなぁ。
◆雑木の森
山道は鳥や風が運んだ
種が根を張る二次林に入る。
ここの木段はいいですね。
「ほんま歩きやすいわ」
環境庁規格の木段は2本使うため
水が堰き止められ道が掘れてしまう。
「木の根1本がいいですわ」
私も自然に問うのが
良いと思いますよ。
◆杖塚に上がる
「こっちに
行くんですよね」
はい そうです。
杖塚に上がって一休みしよう。
「一枚脱ごうか」
今日は思ったより気温が高く
荷を降ろしてウエア調整をした。
私も少し汗を掻きました。
「雪! 雪!!」
「この前の雨やね!」
市内から見た北山は白かった。
これが三辻の初雪だろう。
初雪に日のゆきわたる雑木山 行方寅次郎