家を発って2時間余りで
標高約1100m三辻山頂に上がる。
山並の果てにある高知市は晴れだが
山近いほど雲が多いことが見て取れた。
◆頂に立つ
「また お会いしましたね」
山猿な私は人混みは苦手だが
この様な登山者とは話が弾む。
第二の人生もこうありたいな。
さあ
森に帰ろうか。
◆三辻の森
「枝のシルエットがいいね」
三辻山の北斜面にある森の
高木は落葉し冬の眠りに入り
中低木の紅葉が迎えてくれた。
他国の人は紅葉を枯葉と見るが
日本人は紅葉狩りを楽しんできた。
それは善し悪しでなく文化の違いだろうが
私は自然と共に生きた心の深さを感じる。
◆落葉の道
「今日もカサカサ
気持ちがいい」
この頃のもう一つの楽しみは
雪が降る前の「落葉を踏むこと」。
落葉樹達が毎年大量に落とす葉は
森の土壌となり多くの命を養う。
森は草木がなくては形成されず
食物連鎖も植物を底辺としている。
自然を神としてじっと観てきた祖先は
19世紀光合成が解明される遙か以前から
それを知っていた様に私は思っている。
◆晩秋の風景
「花を咲かせた草も
実を結んだ樹々も枯れて
一年の営みを終えた幹や枝は裸になり
ひっそりとながい冬の眠りにはいろうとしている。
自然の移り変りのなかでも
晩秋という季節のしずかな美しさはかくべつだな」
山本周五郎 「晩秋」
青空に引く秋雲を旅として 阿部みどり女