猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋送る加持ヶ峰遊山 もみぢ

 「さらし柿って何ですか」

 焼酎やぬるい湯につけるなど
渋柿の渋を抜いて甘くしたもの。

 どうしてこんなに甘くなるのか。

◆深山のお寺
 歴史は1300年溯る定福寺。
その奥ノ院の宿坊「遍照院」で
いつも軒下を借りて一休みする。

 「風景が乾いてきたね」

                       

地形だろうが
ここに来ると空気が
変わることを感じる。

 さあ 行こうか。

◆二段目の紅葉へ
 最後の石段から上は修験の域。
幾つかある修験場に道は分かれて
私達は紅葉を追う渓に添う道に入る。

           

佐賀山谷川の渓底に向かい
自然林に覆われた斜面を下る。

 「雲海やね」

 「あの山はなんですか」

 あれは祖谷の国見山。
また雪が降ったら行こうか。

     

◆登り返す
 山道は渓に架かる橋を渡り
大岩が成す急斜面を登り返す。
この二段目の森の高木は紅葉を終え
今年も大地に葉を沢山落としていた。

 紅葉は他国では基本三色だが
錦織なす日本の紅葉は27色なのは
多くの外来種が生き残ったためだ。

                                           

海に囲まれ比較的温暖な日本は
山や谷など複雑な地形に雨が多く
弱い種も強い種も適した場で生き残り
外来種が入ってきても定着してきた。

現存する日本の豊かな植生の
ほぼ全て海を渡ってきたもの。

                       

祖先は自然を観てじていたからこそ
他国の文化や宗教にも寛容だったのだろう。

◆権現さま

 「2週間で変わるんですね」

 急登を登り終えた山道は
なだらかに再び渓に向かった。

 日本の自然はこの様なもの。

                 

 先人が真の清水出流と崇めた
真名井の大岩が森の奥から姿を現す。
仏・菩薩の力の現れと観た大岩は
私達を錦纏う姿で迎えて下さった。

              形見とて何かのこさむ 春は花
                   山ほととぎす 秋はもみぢ葉   大愚良寛