猿板

遊山黒子衆SARUの記録

芒種に入る奥物部遊山 飛沫

 「花終わったみたいやね」

 今年もたくさん咲かせた
森のシャンデリアは大地に降りて
大木の根元に花筵が敷かれていた。

◆Mothertree
 tochikoが森の母と思う
数百年生きた栃の大木の根元から
森のまほらを成した渓水が湧き出す。

 私も森の母だと思っている。

                             

 大海で太陽の熱で雲となり
山に還り再び海に戻る水の循環で
多くの命が養われていることは
神秘的で奇跡の様に感じている。

 今日は
   滝に下ってもうや。

                       

◆かえり道
 ロープを使えば会えると知った。
長笹谷が土石流に呑み込まれて
12年遠のいていた思い出の滝。

例えば日本年間降雨量平均1800mmを
重さに換算すると約7,000億トン。
それを上空に持ち上げるのは太陽の力で
持ち上げられる雲になるのが水の本質。

                                                       

現在世界最大の飛行機の
最大離陸重量は640トン。
私達の住む島国日本だけでも

700,000,000,000トン:640トン

ある100歳を迎えた女性が仰った。

 “風一つ自由に出来ない人間は
      ないもしないのがいいのよ”

 私もそのとおりだと思う。

                             

◆ポテンシャルエネルギー

 何とか思い出の滝に降りた。

 太陽エネルギーにより
雲となり海から高山に還った水は
膨大な力を得てまた海に帰ってゆく。

 その水圧で樹々が森を広げて
草や虫も魚も動物も人間も生きられる。
ダム建設で痛い目に遭った人間たちは
これ以上自然の力を奪ってはいけない。

                             

 この水流を人間が造るとしたら
どれほど燃料を要するだろうか。
再生可能エネルギー」を人が造る?

 言ってる意味が解らない。

                   滝落ちて自在の水となりにけり  小林康治