「こっから見える!」
山地に自生するトチノキ科の落葉高木。
5月頃黄白色の花を円錐花序に密集してつける。
花は蜂蜜、実は栃餅や栃粥、木は良材となる。
◆深山の花見
奥ノ院の宿坊に腰掛けて観てると
風が吹く度ポトポトと花が落ちてくる。
この栃も彼女を落花で迎えてくれた。
これも
静かないい風景だよなぁ。
◆大樹の森
奥ノ院を後に聖域に入る。
そこは渓水と共に深く切れ落ちた
北の斜面に高木が根を張る樹の住処。
その渓谷が深いがゆえに
高木の立ち姿を観ることが出来る。
「夏の花は白色」
人間の目は黄緑色を最もよく感じ
一方昆虫たちは紫外線を最もよく感じ
人間と違う色で花を見ているだろう。
◆渓を溯る
山道は渓底で橋を渡り
稜線に向かって登り返す。
渓は水を好む樹が根を張り
陽の光を求めて高く育つ。
今年も若葉を吹いたこの桂は
何百年生きているだろうなぁ。
足場の悪い急斜面を登り
渓が迫るからよく響く
姿の見えない鳥の囀りは
アカショウビンに変わった。
ここって
地形ごと大岩だよなぁ
◆権化の大岩
「ここも満開で!!」
斜面を登り高木の上部が見えた。
まさに森のシャンデリア。
クマンバチも忙しそうに飛んでいる
山道は急登を終えて
南からの陽射しを遮る様に
聳え立つ真名井の大岩が現れる。
いのち得て光り飛びゆく落花かな 野見山朱鳥