猿板

遊山黒子衆SARUの記録

穀雨の奥物部遊山 鳥帰る

                                                           

 「今年もわんさか」

この沢胡桃の風景は変わらない。
鹿が嫌い残されたバイケイソウ
むしろ毎年増えているように感じる。

◆鳥の巣

 「やっぱり鳥が多いね」

姿の見えない鳥の囀りに囲まれた。
tochikoのもう一つの目的は
一昨年見つけたコガラの巣穴。

「今年も入ってないね
     命の気配がないもの」

 でもきっと今年も
この森のどこかで命を繫いでいるよ。

                             

◆Mothertree
 この日もヌル谷に添って
森の母の様子を見に上がった。

 tochikoは先回同様
栃のドングリを探していたが
今日も見つける事は出来なかった。

 昨年は縁があったがやろう。

                             

 「やっぱり早いね」

毎年この森の母は他の大木より
いち早く若葉を芽吹かせてきた。

 私らが先に寿命を迎えるね。

◆かえり道

 さあ 帰ろうか。

野山の楽しみ方は人それぞれで
山頂の爽快さに惹かれた私達は
今は自然観察に重きを置いている。

                             

そして師匠は自然なのだが
それは真理を求める学者ではなく
悟りを求める宗教的なものでもなく
ただ楽に人生を送りたいだけのこと。

でも苦労した山頂の爽快感もいい。
のんびり自然を楽しみ歩くもよしで
双方バランスをとって歩くことも
より人生が楽しくなると思っている。

       

◆一緒に歩く
 tochikoが鳥笛を鳴らして歩く
林道に聞き慣れない囀りが増えた。
帰ってくるもの今だけの囀りなど
鳥もそれぞれ生き方があるのだろう。

 「近くに来た!!」

                                         

 「私はこれで十分」

三脚立てて長いレンズならとも思うが
森を鳥と共に歩きながら姿を捉える。

 それがtochikoのスタイルやもね。

 今年も春紅葉がはじまった。

さあ 次は何処に行こうかね。

                    鳥帰る無辺の光追ひながら  佐藤鬼房