奥物部の森は快晴下にあり
放射冷却で下がっても10℃と
春らしい気温になってきた。
◆静かなこと
「今日も誰もいない」
この山域は北面にあたる
祖谷側から上がる人が多い。
高知側は静かでいいな。
◆分け入る
「これは咲きはじめ」
いつもの林道で真っ先に咲く山桜。
これが咲き始めならまだ早いかな。
今冬の日本は寒かったうえに
四国は雪も雨も例年より少なく
どこも植物の芽吹きが遅いと聞く。
まあ毎年同じじゃないのが日本だ。
◆花のこと
春の芽吹きは大地から始まる。
それは水の吸い上げなど諸説あるが
私は全てが等しく光合成が出来る様に
命が絡合している証だと思っている。
陽が届く林道沿いには
ネコノメや蕗の薹にハシリドコロなど
スプリング・エフェメラル達が
小さな花を開き始めていた。
「ひと月前は
雪の下やったにね」
スミレ科スミレ属の多年草。
日本では日当たりの良い山野に
約五十種が自生すると言われている。
花は濃紫色が多く四~五月に咲く。
◆灌木のこと
森では高木に先んじて
中低木たちが若葉を芽吹かす。
この日は柳やキブシ、躑躅などが
春空に向かって若葉や花を開いていた。
「もうすぐ
木の芽の山菜シーズン」
「越冬芽が赤くなった」
対岸に広がる奥物部の森の
目覚め始めた高木達の越冬芽が
午前の斜陽に輝いて見えていた。
こんな優しく美しい風景は
四国ではここだけだと思うな。
山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉