河原の膝休めののち
杣人が架けた橋を渡り
カヤハゲの懐に入る。
◆橋を渡る
この橋のすぐ下流には
落差約10mの百神滝があり
いつもの年なら雪解け水が
ゴウゴウと流れ落ちる。
さあ 登るぞ。
◆カヤハゲに入る
長笹谷が深く刻んだ
急峻な斜面は土壌を失い
ザレた山道を踏みしめ登る。
息が弾む頃に急登が終わり
山道は支流のヌル谷に入る。
「頂上のテラスが解る!」
北面に残雪も見える白髪山は
澄んだ寒気もあり乾いて見える。
まだ寒の戻りがあるかな。
◆ヌル谷のナロ
山道はなだらかにヌル谷に添い
30年通い続ける森のまほらに入る。
ここは谷が永い年月流し続けた
土砂が堆積した深山の平坦地で
近年里を追われた鹿により土壌を失い
渓水が伏流することが多くなった。
東屋で一本しょうや。
◆核心に入る
ヌル谷ナロで休憩したのち
今回の目的地この森に幾つかある
まほら(すぐれた所)の一つに向かう。
この森に根の競争に弱い桜が多いのは
かつて炭焼など木材利用がされていた名残で
それが自然を見据えた木材利用であったことは
要所要所に残る大木達がそれを語ってくれる。
そして子孫が見誤り30年足らずで変わった
この風景も自然が至った一過性の風景で
この森の命は何とも思ってない様に感じる。
時々道を見失いながら歩く
山道は標高1400mを越える。
いい時間に着きそうだな。
枯山へひとりがひとつ楽器持ち 吉田汀史