猿板

遊山黒子衆SARUの記録

初冬の加持ヶ峰遊山 冬の水

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 定福寺は聖武天皇神亀元年(724年)に
五台山竹林寺、佐古の大日寺、 平田の延光寺
西豊永の豊楽寺と共に高僧行基によって開山された。

            『土佐名家系譜』による

◆定福寺奥の院
 加持ヶ峰(梶ヶ森)1,400m
その8合目にある定福寺遍照院は
古くは信仰心厚い修験者の宿坊として
昭和にはユースホステルとして賑わった。

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◆渓に沿う
 奥ノ院から修験場に続く
幾つかの道が分かれていて
今日も渓を追う山道にはいる。

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標高1400mの稜線に近づき
渓が迫り風が吹き上がるため
少しずつ積雪量が増えはじめた。

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 「アイゼンいりますか」

渓は稜線に向かった登りになるが
まだ地面は凍ってはいなかった。

 まだ着けない方がいいと思うよ。

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◆渓を上がる
 アイゼン履くと雪質が解らず
この程度の積雪なら靴のエッジで登り
グローブと同じくギリギリまで着けない。

 雪なら何でもアイゼンではないと思う。

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アイゼンは刃を引っ掛けた転倒や死亡事故は多く
この日は雪が少なく根や石のデコボコが出ている。
そんなリスクと目の前のグランド条件との
比較が出来なければ雪山は避けた方が無難だろう。

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 「綺麗ですね」

 まだものの形に積もる雪と
色を失った森が描く水墨画の世界。

 初冬の一期一会だろうね。

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◆修験場
 山道はこの山の修験場の一つ
真名井の滝が下る大岩の元に至る。

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この山は仏岳山とも呼ばれており
その昔弘法大師が鬼神を解脱し
人法詔隆の誓いを霊石で残された
霊場であるとの謂れが残る山である。

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その為修験の道場とされ
その名残の鎖場などが架かる。

 「ツララが着いちゅう」

これから冬本番に入るがやね。

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浮かびくる如く石あり冬の水  山西雅子