「なかなか晴れんね」
山は気圧差があるから
下界の天気予想とは別のもの。
杖塚上がろうや。
◆杖塚
休養林の広場で一休みする。
この時上空の雲は南より流れて
大洋の高気圧が押す様が見えた。
◆赤良木峠
来た道を引き返し
古の峠道に入り峠に下る。
山道は標高約950mにある
かつて城下と本山郷を結ぶ峠に出る。
ここはドロマイト採掘により視野が開け
北には遠く石鎚山を望むことが出来る。
「海が光っちゅう」
南に広がる太平洋は斜陽に輝き
海から流れ来る雲の隙間に向かい
短い鳴き声をあげ一羽の鳥が飛翔した。
◆近道
一旦峠道を離れ
植林作業道を使う近道に入る。
杉が高く育った単調な風景にも
僅かな陽射しで生きる命の色がある。
林に陽が射しはじめた。
林床に笹が現れれば稜線は近い。
冬の鳥光の粒となつて去る 仙田洋子