姿の見えない鳥たちの
お互いを呼び合うような
さえずりに囲まれた。
◆鳥笛を鳴らす
「寝癖がみえたで」
山鳥の渡りは終わったろうから
バードコールに答えるものは
ここで冬を越すものたちだろう。
◆森を見る
林道は尾根を巻きはじめ
対岸のカヤハゲの森が見える。
谷に突き出した尾根は風が強く
気温も下がり落葉も早くなる。
世界的に紅葉の色は3種程度だが
日本は27種の錦織りなす紅葉があり
それは外来種が複雑な地形に残るためで
春紅葉にも淡く優しい色合いを見せる。
南北に延びる尾根を越えた朝の斜陽で
燃えるように赤く染まる奥物部の樹々。
改めて日本の自然は世界一美しいと感じた。
今年はこのブナも
上手に染まったな。
◆陽を見る
南北の山に押され渓が迫る処
林道から渓に降りる山道に入った。
ここから奥物部の森に分け入る。
一本立てようや。
長笹谷の河原で一休みののち
谷を渡りカヤハゲ南斜面を登り返す。
南東から射す朝陽が
樹々の葉を透かし紅葉が輝く。
深く掘り下げた谷を挟んだ対岸を
暗い背景に出来る処は少ないだろう。
それは海岸から押し寄せる波のような
山並を持つ四国ならではの風景だと思う。
「着物の柄みたいやね」
ほんまやね。
何て美しい風景なんだろう。
かざす手のうら透き通るもみぢかな 大江丸