猿板

遊山黒子衆SARUの記録

霜降に入る加持の森遊山 蟻地獄

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 「最近見んなったね」

 ウスバカゲロウの幼虫。
縁の下や松原などの乾いた砂の中に
すり鉢状の穴を掘り滑り込む蟻など捕らえる。

◆定福寺の奥ノ院
かつての宿坊の軒下を借りて
今日も荷を下ろし一本立てた。
この時の気温5℃は
寒気の訪れを告げている。

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 「いつ来ても静かやね」

いま稜線が紅葉の盛りを迎えて
皆そちらに向かっているのだろう。

 一人でも少ない方がえいろう(笑)

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◆谷に入る
 奥ノ院は修験場に向かう
幾つかの道が交わるところで
今日は変化の兆しを求めて
紅葉谷を溯る道に入った。

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緑に秋色が見えはじめた森の山道に
歩幅に合わない木道が現れ急登となる。

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「今年は上手く染まるかな」

紅葉は樹々が落葉する前に
大切な葉緑素を幹に仕舞い
残った色素で葉が染まる現象。

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春はその逆で葉緑素
遅れる木々が赤色や黄色に淡く
山を染める春紅葉がある。
本の森は変化の時が美しい。

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◆真名井の滝

トリカブトも実になった」

 キンポウゲ科多年草の花。
薬用、切り花用として栽培されるが有毒植物。
九月ごろ茎頂や上方に濃紫色の花をつける。

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 山道は急峻な渓を登り
行場の一つ大岩の間を細く曲る
落差12mの真名井の滝に至る。 

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 天にこの山を持ち上げた大岩に
私は先人が神と見た自然の力を感じる。

 そして岩の上に別の世界がある。

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                    寺の子の遊び上手や蟻地獄  橋本榮治